元会津藩町方同心の干潟干兵衛は、奥羽戦争で妻のお宵を、そして西南の役では息子の蔵太郎を喪っていた。
明治になってからは、東京で孫娘のお雛を馭者台に載せて辻馬車稼業を営み、穏やかな日々を送るはずだったが、いつしか自由民権運動が激化するにしたがい、度々警視庁の密偵や三島県令の手下などから襲われてしまう。
そんなときお雛が「父!父!」と叫ぶと、血まみれの軍服姿で蔵太郎の幽霊が現れて、干兵衛たちを危機から救う。さらに蔵太郎の幽霊が呼ぶと、妻お宵の幽霊も現れる。
いつしか干兵衛の馬車は「幽霊馬車」と言われ…。
明治の自由民権運動が盛んな時代の負の部分を、歴史的勝利者に焦点をあてるのではなく、敗残者である元・会津藩士の目を通して奇想天外に幻想的に描いた秀作です。
原作/山田風太郎
脚色/金子義広
演出/志村智雄(前進座)
美術/内山勉
照明/竹井崇(タケスタジオ)
音響/射場重明(TEO)
音楽/笠松泰洋
かつら/斉藤三郎(丸善かつら)
衣裳/中村洋一(東京衣裳)
チラシデザイン/石原洸
演出助手/駒形亘昭
舞台監督/泉泰至
制作/井田紀子
主催 劇団俳小